「リアル」と面白さは必ずしも比例しない問題

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個人的な理解について書くと、「リアルだから面白い」ということは全くない。ただし、「読む人によっては、リアルさが面白さにつながる」ことは多分割とある。「ただひたすらリアルなものを求めている」人も多分いる。ただし、そういう人をターゲットにするかどうかは作者の判断だ。


まず、リアルさが面白さに寄与する場合というのは、恐らく「臨場感や感情移入のしやすさを高めることが出来る場合」だと思う。


作中のキャラクターに感情移入して、作中のキャラクターに起きることをよりリアルに体感することが出来ると、その小説の面白さは跳ね上がる。これはエロでも非エロでも関係なく、「感情移入のしやすさ」が「面白さ」につながることは間違いない。エロ小説の場合、主人公に感情移入出来るか、あるいはヒロインの女の子に感情移入出来るかによって没入感は全く変わるし、興奮度合いも全く変わる。


ところで、一言で「リアル」といっても色々ある。例えば、物理的な法則に即しているという意味でリアルなのか。歴史考証がきちんとしているという意味でリアルなのか。その世界の中でつじつまが合っている、という意味でリアルなのか。


なろうの世界観がどうとかこうとかー、という「リアル」にこだわっている人が思い浮かべているのは、「いわゆる中世世界観」に基づくリアル、言ってみればより「実際の歴史」に近づける為のリアルである。


「リアル」にこだわるのは、「感情移入をしやすくする為の手段の一つ」である。世の中には、「あ、これリアルじゃない」とか「あ、これ嘘っぽい」とか思ってしまうと感情移入できなくなってしまう人がいる。そういう人は、「これ本物みたいだ!」「こんなに細かく描写してあるなんて!」といった表現を貴ぶ。


で、いわゆる王道ファンタジー、中世世界観にこだわる人たちは、そういう世界観的な意味でリアルな描写を「重厚な世界観」とか言って褒めたたえる。


言い方を変えると、そういう人たちをターゲットにするのでなければ、「リアルさ」は特段必要ない。別に「この物語の舞台は中世ヨーロッパです」などと謳っているわけではないのだ。中世世界観に基づくリアルさを追求する必要も、ヨーロッパっぽく描写する必要も全くない。中世ファンタジー世界観に蒸気機関や印刷技術があっても全く問題はないし、なんなら飛行機が飛んでいても全然構わないと思う。だってそれはそういう世界観なんだもん。文句あっか。


「リアルさ」は作品を面白くする為の手段の一つに過ぎない。「リアルでないから面白くない」という人がいたとしたら、単に「その作品のターゲットはあなたじゃないですよ」というだけの話であって、「こういう表現は間違っている」などという権利は誰にもない。


エロも同じことであって、リアルな描写にエロを感じる人の存在をもちろん否定はしないが、私自身は「作品内でつじつまがあってさえいれば、実際的な意味でのリアルさは特に求めない」という方である。主人公が一晩で何十回射精してもいいし、ヒロインがちょっと触られただけで絶頂に至ってもいいし、感度3000倍になる媚薬が存在してもいいと思う。エロければええやん。